しんペコ日記

まだ始めたばかりで、方向性が決まっていませんが、まずは記事をどんどん書きます!

保育士さんの素敵な野望に心打たれた話

人生を変えた言葉、忘れられない言葉はありますか?

私にはいくつかあるのですが、ちょっぴり職業観が変わった気がする、そんな言葉を聞いたのは、昨年7月にN保育園の見学をしたときでした。

N保育園はいわゆるモンテッソーリ教育を熱心にされていて、保育士の先生がみな物腰柔らかでふんわりとした雰囲気でした。とても評判が良く、その地域で1~2番目に人気の保育園であるため、早い時期でもひっきりなしに見学の予約が入っていたようです。それにも関わらず、見学は1組ずつさせていただけて、先生が丁寧に園の理念を説明してくださいました。多くの保育園見学は、園舎を回りながら施設の設備やスケジュールをメインに説明して、質疑応答して終了となりますが、理念・方針をメインに説明されたのは初めてでした。

とても柔らかで、優しくゆっくりとした話し方で、先生はこのようにおっしゃいました。

「ここでは、1人1人のお子さんを尊重します。困っているときは、どうして困っているのかお子さんのお話を聞きます。お子さんになにか行動を促すときは、『△△さん、もしよかったら、〇〇してくれませんか?』とお願いします。」

「尊重されて育ったお子さんは、他の人のことも尊重することができます。他の人を尊重できるお子さんを、これからもたくさんたくさん育てることによって、私たちは世界平和を実現したいと思っているんです。」

なんと・・・!!!世界平和!!!?
とっても素敵な話だけど、地球全体の子どもたちの数からしてN保育園の卒園児の数なんて少なすぎて追いつかないよ!!!

しかし、先生は決して冗談で言っている感じではなく、当然実現可能と信じているように私には見えました。

ところで、私は、今は育児休業をしていますが、地方の小さな町役場で働いています。高校や大学の同級生には東京や外国で就職したり独立したりして、やりがいを持って大きな仕事をしている人がたくさんいて、私は毎日のようにInstagramFacebookを見ながら「〇〇ちゃんってすごい人だったんだな」などと感心していました。

「それに比べて、私の仕事で影響を与えられる人の数は、マックスで町の住民の数かなぁ」
「やりがいって何だろうなぁ」

つい他人と比べて自信をなくしてしまいがちだった私は、N保育園の見学を終えて、「世界平和のために働いている」と誇らしげに言い切った保育士の先生の言葉についてずっと考えていました。

人が働く理由って、合法的にお金を得るためだけではない。単に感謝されて気分が良いから続けるのではない。大きなプロジェクトを成し遂げて達成感に浸るためだけでは自己満足で終わってるかもしれない。

もしかして、どの仕事も、保育士の先生みたいに「世界平和の実現」が最終目標なのだとしたら…?世界中のみんなの最終目標が同じ。すごく素敵だな。

大げさすぎるかな?でもあながち不正解でもないかもしれません。

たとえば、窓口で対応したお客さんが私と話して気分が晴れたなら、他の誰かにちょっと優しくできるかもしれない。ひょっとしたらこの連鎖が町内の人から町外の人へ続くかも。

日頃から子どもと密に関わる中で一人一人を尊重してくださっている保育士の先生方の努力や、子どもたちの秘めた無限のパワーには及びませんが、貢献度には差はあれど、私の仕事も世界平和実現への歩みと捉えることができました。

誰にとっても働くことの最終目標は、世界平和の実現なのかもしれない、ということに気づいた出来事でした。

ちなみに、その後我が家はN保育園のある市から転出することになったので入園希望はできなくなってしまいましたが、地域の親子向けに毎月子育て支援の集会をしてくださっているので、いつかまた先生方にお会いしたいなと思っています。